2008-08-16

玻璃の天

玻璃の天北村薫/著 文藝春秋/発行 2007.4

小説は女流作家の作品を読むことが断然多い私ですが、数少ない私の好きな男性作家。やっぱり、国語の先生だったからか、文章が綺麗でとても上品な雰囲気。それに女性が主人公の作品が多いので感情移入もしやすいです。
この作品は“街の灯”の続編です。“街の灯”を読んだとき、すっごく好きなシリーズになりそうな予感がすでにしてました。推理小説ではありますが、文学的で、とても深い。
主人公は女子学習院に通う良家の子女“英子”と、前作では、どういう経歴の人なのか謎のままだった女性おかかえ運転手の“ベッキーさん”。“ベッキーさん”は頭も切れるし、銃も扱えるし、いったい何者?と思っていたのですが、この本で明らかになります。とても切ないです。
昭和初期の時代の雰囲気が、とてもリアルに伝わってきますが、それもこれも全て北村氏の博覧強記に裏打ちされたもの。ラストに参考文献が紹介されています。北村作品の魅力のひとつは、読んでいるうちに次に読みたい本が決まるところですね(笑)。
さぁさぁ、そろそろなんじゃありませんか?遅いくらいですよ、選考委員の先生方!!私の感覚が古いのかもしれないけど、正直最近は「なんじゃこりゃ?」っていう受賞作が多すぎますよ…。
ところで、作家のペンネームって性別不詳なものが、多いですよね。北村氏は最初から男性だと知っていましたが。
私が間違えていたのは、恩田陸氏、柴田よしき氏、ダニエル・スティール氏…お三方とも長らく男性だと思っていました。きっと私、まだまだ性別を誤解している作家さんがいる気がするわ。
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2008-08-11

インテリジェンス 武器なき戦争

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)手嶋龍一/著 佐藤優/著 幻冬舎/発行 2006.11

裏表紙に「インテリジェンス入門書」とあるように、門外漢の私が読んでもとても面白かったです。ただお二人の話は、いろいろなところにポーンと飛ぶので、読者の方もある程度、時事とか、歴史とか、話題の背景がわからないと「?」状態になるかも。
最初ゾルゲの話なんか頻繁に出てきて、インテリジェンスって、突き詰めればやっぱりスパイ活動みたいになっちゃうの?と思いました。ただ、非合法なことをしないでごく普通にメディアから入ってくる情報でも、すぐれたインテリジェンス・オフィサーがいればすごい武器になるわけなんですね。ま、“いれば”の話なんですけども…。
膨大な各国の知識を持っていなければならないし、人脈も必要だし、なによりすごく立ち回り方が難しい…この本の中にはインテリジェンス・スクールの構想的なお話も出てきますが、このお二方みたいな人材が、果たしてそういう機関から輩出されるものなのか、ちょっと疑問です。本人の努力では、いかんともしがたいインテリジェンスのDNAってものが、突然変異的にすぐれたインテリジェンス・オフィサーを作り出すんじゃないかなぁ。
しかし、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないことはわかります。インテリジェンス・オフィサーの資質が国の存亡を左右するわけだし、早急に人材は必要なんですよね。
それにしても、この二人が見聞きしてきたもののすごさったらない。ただただ、「うへーーっ」て(笑)思いながら読みました。あと本の中で佐藤さんは手嶋さんに、たびたび「ラスプーチン」と呼ばれてるけど、別に不快ではないのか?手島さんも一種の畏敬をこめて、呼んでるみたいですもんね。
いま、以前雑誌で読んだ(と思うのですが…)佐藤さんの書いた記事(たぶん連載)を探していまして…全然見つかりません。そのときは「きっと本になるから、本になったら読もう」と思ったんですよね。しばらくたってから、記憶にある雑誌を探してみたらないんですよ。どうやら雑誌名を間違って記憶していたらしくて。TVには出ない方ですが、著書は結構多いですよね。いろいろな雑誌に書いていらっしゃるからなぁ。でも、私が読む雑誌なんてごくごく限られてるのに…おかしいなぁ。どこで読んだんだろう??
関係ないですが、「論座」が休刊になるとか。ちょっとショックでした。
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2008-05-12

七姫幻想

森谷明子/著 双葉社/発行 2006.2

今年は源氏物語千年紀ですね。この著者の森谷さんは千年の黙―異本源氏物語で鮎川哲也賞を受賞された方です。
『千年の黙』は紫式部と彼女に仕える少女が探偵役なのですが、とても楽しめたので、この方の次回作をすごーく待っていました。それで、ときどき検索をかけていたのに最近までこの本に気が付かなかったという…。検索をかけるとき著者名の字を間違っていたのだろうか??とっくに出てたんですねぇ。
昔から、洋の東西を問わずお姫様の出てくる話は好きです。七姫というのは、たなばたの織姫の七つの異称で、この本も七つの物語からなっています。時代や設定が変わっていくのですが、共通する登場人物も出てくるし、どのお話にも、ある特殊な能力を持った一族出身の女性がかかわっています。
ほとんど悲恋でしたし、ちょっと怖いようなお話もありました。でも内容はファンタジーなので、そんな悲惨さは感じません。古典の世界の雰囲気は漂っていますが、文体は完全に現代ですしスイスイと読みやすいです。
面白いのが、ちょこちょこと歴史上の人物が出てくること。軽皇子とか、清原元輔とか。そう、元輔が出てくるので、その後の話に出てくる“少納言”が、ただの“少納言”ではなく、清少納言なんだ!とわかりました。一言も清少納言とは書かれていませんが…。
私はその少納言が出てくる「朝顔斎王」(娟子内親王)のお話が一番好きです。唯一この話だけが、ハッピーエンドですし。私は源氏物語でも、朝顔の姫君が一番好きなんですよね。某作家には、「紫式部が、何のためにこの姫を書いたのかわからない」とまで言われていましたが…。同性として、女としての魅力よりも、感情を抑えて、頭よく賢く立ち回る人に惹かれるのよね。
現在、朝日新聞の夕刊のニッポン人・脈・記で、<千年の源氏物語>が連載されていますが、5/9に森谷さんが出ていました。なんと今年『千年の黙』の続編が出るとか!嬉しいです!千年紀の今年はまだまだいろいろ源氏物語に関する本が出版されるようですし、結構源氏好きな私は楽しみにしてます。
この本を読んでから、急に大鏡が読みたくなって、本棚の奥から苦労して引っ張り出しました。学術文庫って、文庫だけどお高いよね。栄華物語も、文庫で持っていたような気がするんだけど見つからない…。
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2007-11-18

「綺麗な人」と言われるようになったのは、四十歳を過ぎてからでした

「綺麗な人」と言われるようになったのは、四十歳を過ぎてからで林真理子/著 光文社/発行 2007.7

林さんはご存じの通り大作家そしてセレブ。バーキン、ミンクのコート、季節毎に大量に服の購入、着物を新調したり、夜はオペラ、歌舞伎座etc…まぁさっぱり私には縁のないものばかり出てきます。しかしなんでこんなに(ペーペーの庶民の私に)グサーッと思い当たるフレーズが多いのでしょうか?
ワーッと思ったのが、“買ってきてそのままのフェラガモの靴を発見した。ヒールは太く短いし、トゥが丸くて今のものとディテールが違うので従姉に送った”というくだり。なんかちょっと思い当たることがっ!
相葉くんのディナークルーズに行くとき、ワンピースは買うつもりだったんですけど、小物類は持ってるものを使えばいいかと思っていました。そして久しぶりに手持ちのパンプスの箱を開けてみたら…ありえない、ありえないヒールの太さっ!そしてつま先は丸い。あわてて靴を買いに行ったけど、そのあたりが予定外の出費だったのよね(もちろん買ったのはフェラガモじゃないけど)…っと話が逸れました。
女が年をとったら、“ややコンサバ”にならないとという言葉も納得。着たい服を諦めるのは辛くもあるけど、みっともないのは嫌ですしね。あけすけに書いてる部分は、不快な人もいるかもしれませんが、私にはなかなか小気味よかったですよ。「おしゃれな四十歳になれるよう今から頑張ろう!」という気にはなりました。
こんなにセレブな林さんでも、夜出かける予定表を、おそるおそるご主人に提出したり、普通の主婦な部分もあるのよね。
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2007-11-17

エミリ・ディキンスン家のネズミ

エミリ・ディキンスン家のネズミエリザベス・スパイアーズ/著 クレア・A・ニヴォラ/絵 長田弘/訳 みすず書房/発行 2007.9

エミリ・ディキンスンを初めて知ったのは、ドロシー・ギルマンの「おばちゃまシリーズ」に引用されていた詩を読んだときでした。あれから何年経ったのかしら…。
外国人の詩というと、(もちろん私は日本語訳で読んでいるわけですが)なんだか結構表現が大仰で、なんだかこっちが恥ずかしくなってしまうようなものが、結構あります。でもディキンスンの詩はリアリズムがあるし、難解なものもありますが、知的な雰囲気が好きです。
この本はディキンスンの家に住む白ネズミが語り手です。このネズミとディキンスンが詩のやりとりをするのですが、ディキンスンの膨大な量の詩の中から、本当にこの小さなネズミとやりとりしているかのような内容の詩が選ばれています。子どもがディキンスンの詩にふれるきっかけには、とても良いと思います。ラストにちょっとした評伝も付いています。83ページ、絵も多い横書きの本ですが、内容的には高学年向きでしょうか?児童書だけど、詩の原文もあると嬉しかったな。
ときは19世紀、家からほとんど出なかった彼女が、どうしてこんなに広く深い世界を展開できるのか不思議でしたが、きっとこの物語のようなことがあったのかもしれませんね。
ちなみに絵本でもエミリーがありますね。こちらも、きっとこんなことがあったに違いないと思わせる内容です。バーバラ・クーニーの絵もすばらしいのでぜひ見てください。
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飛花実記へようこそ。
自分の周りのものの流れが速く感じられて(歳のせい?)書き留めておきたい気持ちでブログを始めました。
ただし、発売日、購入日などてんでバラバラ…
最近は当初の予定とはかけ離れた方向へ突っ走っております。
注)ネタバレが多々ございますので、お気をつけください。

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